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Gitのブランチ戦略とは?Git FlowとGitHub Flowを学ぶ

公開日: 2024年2月9日 著者: mogura
Gitのブランチ戦略とは?Git FlowとGitHub Flowを学ぶ

疑問

Gitのブランチ戦略にはどのようなものがあり、どのように使い分ければよいのでしょうか?Git FlowとGitHub Flowについて一緒に学んでいきましょう。

導入

Gitのブランチ戦略は、チーム開発においてコードの管理とリリースを効率的に行うための重要な手法です。適切なブランチ戦略を選択することで、開発の混乱を減らし、安定したリリースを実現できます。

本記事では、Git FlowとGitHub Flowを中心に、実践的なブランチ管理方法まで詳しく解説していきます。

Gitブランチ戦略のイメージ

解説

1. ブランチ戦略とは

ブランチ戦略は、複数の開発者が協力して作業する際の、ブランチの作成・管理・マージのルールです。

ブランチ戦略の目的

- 並行開発: 複数の機能を同時に開発
- 安定性の確保: 本番環境のコードを安定に保つ
- リリース管理: バージョン管理とリリースの効率化
- チーム協力: 開発の混乱を減らす

2. Git Flow

Git Flowは、Vincent Driessenが提唱したブランチ戦略です。main、develop、feature、release、hotfixの5種類のブランチを使用し、複雑なリリース管理に適しています。

ブランチの種類

Git Flowでは、main、develop、feature、release、hotfixの5種類のブランチを使用します。それぞれのブランチには明確な役割があり、特定の目的のために使用されます。

主要ブランチ

mainブランチは本番環境のコードを保持し、常にデプロイ可能な状態を保ちます。developブランチは開発の統合ブランチで、次のリリースに向けた機能を統合します。

補助ブランチ

featureブランチは新機能の開発に使用し、developブランチから分岐してdevelopブランチにマージします。releaseブランチはリリース準備に使用し、developブランチから分岐してmainとdevelopの両方にマージします。hotfixブランチは緊急のバグ修正に使用し、mainブランチから分岐してmainとdevelopの両方にマージします。

Git Flowのワークフロー

Git Flowのワークフローは、developブランチからfeatureブランチを作成し、開発が完了したらdevelopブランチにマージします。リリース準備が整ったら、developブランチからreleaseブランチを作成し、テストとバグ修正を行った後、mainブランチとdevelopブランチにマージします。緊急のバグ修正は、mainブランチからhotfixブランチを作成し、修正後にmainブランチとdevelopブランチにマージします。

Git Flowのメリット・デメリット

Git Flowのメリットは、本番環境のコードを常に安定に保てること、複数の機能を並行して開発できること、リリース管理が明確であることです。デメリットは、ブランチ構造が複雑で学習コストが高いこと、小規模なプロジェクトには過剰であること、マージが多くなりがちなことです。

Git Flowの基本的なコマンド

Git Flowを使用する際の基本的なコマンド例です。

# developブランチからfeatureブランチを作成
git checkout develop
git pull origin develop
git checkout -b feature/new-feature

# featureブランチで作業後、developにマージ
git checkout develop
git merge --no-ff feature/new-feature
git push origin develop
git branch -d feature/new-feature

# リリース準備: developからreleaseブランチを作成
git checkout develop
git checkout -b release/1.0.0

# リリース完了: mainとdevelopにマージ
git checkout main
git merge --no-ff release/1.0.0
git tag -a v1.0.0 -m "Release version 1.0.0"
git checkout develop
git merge --no-ff release/1.0.0
git branch -d release/1.0.0

# 緊急修正: mainからhotfixブランチを作成
git checkout main
git checkout -b hotfix/critical-bug

# hotfix完了: mainとdevelopにマージ
git checkout main
git merge --no-ff hotfix/critical-bug
git tag -a v1.0.1 -m "Hotfix version 1.0.1"
git checkout develop
git merge --no-ff hotfix/critical-bug
git branch -d hotfix/critical-bug

3. GitHub Flow

GitHub Flowは、GitHubが提唱したシンプルなブランチ戦略です。mainブランチとfeatureブランチのみを使用し、継続的なデプロイに適しています。

ブランチ構造

GitHub Flowでは、mainブランチが本番環境のコードを保持し、常にデプロイ可能な状態を保ちます。新機能やバグ修正は、mainブランチからfeatureブランチを作成し、プルリクエストを通じてmainブランチにマージします。

GitHub Flowのワークフロー

GitHub Flowのワークフローは、mainブランチからfeatureブランチを作成し、作業を進めます。作業が完了したら、プルリクエストを作成してコードレビューを受けます。レビューが承認されたら、mainブランチにマージし、すぐにデプロイします。

GitHub Flowのルール

GitHub Flowのルールは、mainブランチは常にデプロイ可能な状態を保つこと、新機能はfeatureブランチで開発すること、プルリクエストを通じてマージすること、マージ後はすぐにデプロイすることです。

GitHub Flowのメリット・デメリット

GitHub Flowのメリットは、シンプルで理解しやすいこと、迅速な開発とデプロイが可能なこと、学習コストが低いことです。デメリットは、複雑なリリース管理には不向きなこと、本番環境への影響を最小限に抑える必要があること、継続的なデプロイが前提となることです。

GitHub Flowの基本的なコマンド

GitHub Flowを使用する際の基本的なコマンド例です。

# mainブランチからfeatureブランチを作成
git checkout main
git pull origin main
git checkout -b feature/new-feature

# 作業を進める
git add .
git commit -m "Add new feature"
git push -u origin feature/new-feature

# プルリクエストを作成(GitHub上で)
# コードレビュー後、mainブランチにマージ

# mainブランチを最新の状態に更新
git checkout main
git pull origin main

# マージされたfeatureブランチを削除
git branch -d feature/new-feature
git push origin --delete feature/new-feature

4. GitLab Flow

GitLab Flowは、GitLabが提唱したブランチ戦略です。環境ブランチを使用し、ステージング環境や本番環境へのデプロイを管理します。

環境ブランチ

GitLab Flowでは、mainブランチからstagingブランチやproductionブランチなどの環境ブランチを作成します。featureブランチからmainブランチにマージし、その後環境ブランチにマージしてデプロイします。

リリースブランチ(オプション)

リリース管理が必要な場合は、mainブランチからリリースブランチを作成し、バージョン管理を行います。リリースブランチは、特定のバージョンのコードを保持し、バグ修正やパッチの適用に使用されます。

GitLab Flowの基本的なコマンド

GitLab Flowを使用する際の基本的なコマンド例です。

# mainブランチからfeatureブランチを作成
git checkout main
git pull origin main
git checkout -b feature/new-feature

# 作業を進める
git add .
git commit -m "Add new feature"
git push -u origin feature/new-feature

# プルリクエストでmainブランチにマージ
# マージ後、stagingブランチにマージしてステージング環境にデプロイ
git checkout staging
git pull origin staging
git merge main
git push origin staging

# 本番環境へのデプロイ
git checkout production
git pull origin production
git merge staging
git push origin production

5. 実践的なブランチ命名規則

明確なブランチ命名規則を設定することで、ブランチの目的を理解しやすくなり、チーム開発が効率化されます。

ブランチ名の形式

ブランチ名は、`type/scope/description`の形式で命名します。タイプでブランチの種類を表し、スコープで関連する機能やモジュールを表し、説明で具体的な内容を表します。

タイプの種類

featureは新機能の開発、fixはバグ修正、hotfixは緊急のバグ修正、releaseはリリース準備、choreはドキュメントや設定の変更などに使用します。

ブランチ命名規則の例

ブランチ命名規則の具体例です。

# 新機能の開発
feature/user-authentication
feature/payment-integration
feature/dashboard-analytics

# バグ修正
fix/login-error
fix/payment-validation
fix/memory-leak

# 緊急修正
hotfix/security-patch
hotfix/critical-bug

# リリース準備
release/v1.0.0
release/v2.0.0

# その他の変更
chore/update-dependencies
chore/add-ci-config

# スコープを含む命名
feature/auth/login-page
feature/payment/stripe-integration
fix/api/error-handling

6. マージ戦略

Gitには複数のマージ戦略があり、それぞれ異なる用途に適しています。Fast-forward、No-fast-forward、Squashマージの違いを理解することが重要です。

Fast-forwardマージ

Fast-forwardマージは、マージ先のブランチに新しいコミットがない場合に使用されます。マージコミットを作成せずに、ブランチの履歴を直線的に統合します。履歴がシンプルになりますが、ブランチの存在が履歴に残りません。

No-fast-forwardマージ

No-fast-forwardマージは、マージコミットを作成してブランチを統合します。ブランチの存在が履歴に残り、どの機能がいつマージされたかを追跡できます。Git Flowなどで推奨される方法です。

Squashマージ

Squashマージは、featureブランチの複数のコミットを1つのコミットにまとめてマージします。履歴がクリーンになりますが、個々のコミットの詳細は失われます。小さな変更をまとめる際に有効です。

マージ戦略のコマンド例

各マージ戦略のコマンド例です。

# Fast-forwardマージ(デフォルト)
git merge feature-branch

# No-fast-forwardマージ(マージコミットを作成)
git merge --no-ff feature-branch

# Squashマージ(コミットを1つにまとめる)
git merge --squash feature-branch
git commit -m "Merge feature-branch"

# マージ戦略の確認
git log --graph --oneline --all

7. プルリクエストのベストプラクティス

効果的なプルリクエストを作成することで、コードレビューが効率化され、コードの品質が向上します。良いプルリクエストの特徴とテンプレートを紹介します。

良いプルリクエスト

良いプルリクエストは、1つの明確な目的を持ち、小さな変更に分割されています。変更の理由と内容を明確に説明し、テストが含まれています。レビューしやすいように、関連する情報を提供します。

プルリクエストのテンプレート

プルリクエストのテンプレートには、変更の概要、変更の理由、テスト方法、スクリーンショット(UI変更の場合)、チェックリストなどが含まれます。テンプレートを使用することで、一貫性のあるプルリクエストを作成できます。

プルリクエストのテンプレート例

プルリクエストのテンプレートの例です。

## 変更の概要
このプルリクエストで何を変更したか簡潔に説明してください。

## 変更の理由
なぜこの変更が必要なのか説明してください。

## 変更内容
- 変更点1
- 変更点2
- 変更点3

## テスト方法
どのようにテストしたか説明してください。

## スクリーンショット(該当する場合)
UI変更の場合は、スクリーンショットを添付してください。

## チェックリスト
- [ ] コードが動作することを確認した
- [ ] テストを追加した
- [ ] ドキュメントを更新した
- [ ] コードレビューを依頼した

8. コンフリクトの解決

マージやリベース時にコンフリクトが発生した場合、適切に解決する必要があります。コンフリクトの原因と解決方法を理解することが重要です。

コンフリクトが発生した場合

コンフリクトが発生した場合、まずコンフリクトが発生したファイルを確認します。コンフリクトマーカー(<<<<<<<、=======、>>>>>>>)を確認し、適切な内容を選択して解決します。解決後、ファイルをステージングしてコミットします。定期的にmainブランチと同期することで、コンフリクトを防ぐことができます。

コンフリクトの解決手順

コンフリクトを解決する手順の例です。

# 1. 最新のmainブランチを取得
git checkout main
git pull origin main

# 2. featureブランチに戻ってマージ
git checkout feature-branch
git merge main

# 3. コンフリクトが発生した場合、ファイルを確認
git status

# 4. コンフリクトを解決(エディタで編集)
# <<<<<<< HEAD
# 現在のブランチの内容
# =======
# マージするブランチの内容
# >>>>>>> main

# 5. 解決後、ファイルをステージング
git add conflicted-file.txt

# 6. マージを完了
git commit -m "Resolve merge conflicts"

# 7. リモートにプッシュ
git push origin feature-branch

9. ブランチの保護設定

重要なブランチ(mainやdevelopなど)を保護することで、誤った変更を防ぎ、コードの品質を保つことができます。GitHubやGitLabでは、ブランチ保護ルールを設定できます。

GitHubでのブランチ保護

GitHubでは、Settings > Branchesからブランチ保護ルールを設定できます。直接プッシュの禁止、プルリクエストの必須、コードレビューの必須、ステータスチェックの必須、マージ前の承認など、様々なルールを設定できます。

ブランチ保護の設定例

ブランチ保護の設定項目の例です。

# GitHubでのブランチ保護設定(Web UI)
# Settings > Branches > Add rule

# 保護するブランチ名
main

# 設定項目:
# - Require a pull request before merging
#   - Require approvals: 1以上
#   - Dismiss stale pull request approvals
# - Require status checks to pass before merging
#   - Require branches to be up to date before merging
# - Require conversation resolution before merging
# - Require signed commits
# - Require linear history
# - Include administrators
# - Restrict who can push to matching branches

10. チームでのブランチ戦略の選択

チームの規模やプロジェクトの要件に応じて、適切なブランチ戦略を選択することが重要です。小規模、中規模、大規模チームそれぞれに適した戦略を紹介します。

小規模チーム(1-5人)

小規模チームには、GitHub Flowが適しています。シンプルで理解しやすく、迅速な開発とデプロイが可能です。mainブランチとfeatureブランチのみを使用し、継続的なデプロイを前提とします。

中規模チーム(5-20人)

中規模チームには、GitHub FlowまたはGitLab Flowが適しています。環境ブランチを使用するGitLab Flowは、ステージング環境と本番環境を分離したい場合に有効です。コードレビュープロセスを確立することが重要です。

大規模チーム(20人以上)

大規模チームには、Git Flowが適しています。複雑なリリース管理が必要で、複数の機能を並行して開発する場合に有効です。本番環境の安定性を保ちながら、開発を進めることができます。

チーム規模別の推奨戦略

チーム規模に応じたブランチ戦略の選択例です。

# 小規模チーム(1-5人)
# 推奨: GitHub Flow
# - mainブランチ + featureブランチ
# - 継続的なデプロイ
# - シンプルなワークフロー

# 中規模チーム(5-20人)
# 推奨: GitHub Flow または GitLab Flow
# - GitHub Flow: シンプルな継続的デプロイ
# - GitLab Flow: 環境ブランチを使用
# - コードレビューの必須化

# 大規模チーム(20人以上)
# 推奨: Git Flow
# - main + develop + feature + release + hotfix
# - 複雑なリリース管理
# - 本番環境の安定性重視

11. ベストプラクティス

効果的なブランチ戦略を実践するためのベストプラクティスをまとめます。小さなプルリクエスト、定期的な同期、明確な命名規則など、実践的なアドバイスを提供します。

小さなプルリクエスト

小さなプルリクエストを作成することで、レビューが効率化され、マージが迅速になります。1つのプルリクエストは1つの明確な目的を持ち、200行以下の変更を目安にします。

定期的な同期

定期的にmainブランチと同期することで、コンフリクトを防ぎます。毎日1回以上、mainブランチの変更を取得してマージします。

明確な命名規則

明確なブランチ命名規則を設定し、チーム全体で統一します。feature/、fix/、hotfix/などのプレフィックスを使用し、ブランチの目的を明確にします。

コードレビューの徹底

すべての変更をコードレビューし、品質を保ちます。プルリクエストは必ずレビューを受け、承認を得てからマージします。

ベストプラクティスのチェックリスト

ブランチ戦略のベストプラクティスのチェックリストです。

# ブランチ戦略のベストプラクティス

## プルリクエスト
- [ ] 1つの明確な目的を持つ
- [ ] 200行以下の変更
- [ ] 明確な説明とテストを含む
- [ ] 関連するIssueを参照

## ブランチ管理
- [ ] 明確な命名規則に従う
- [ ] 定期的にmainブランチと同期
- [ ] マージ後はブランチを削除

## コードレビュー
- [ ] すべての変更をレビュー
- [ ] 建設的なフィードバックを提供
- [ ] 承認を得てからマージ

## コミット
- [ ] 小さなコミットを心がける
- [ ] 意味のあるコミットメッセージ
- [ ] 関連する変更をまとめる

まとめ

Gitのブランチ戦略は、チーム開発においてコードの管理とリリースを効率的に行うための重要な手法です。Git Flowは複雑なリリース管理に適し、GitHub Flowはシンプルで迅速な開発に適しています。

プロジェクトの規模と要件に応じて適切なブランチ戦略を選択し、明確な命名規則とコードレビュープロセスを確立することが重要です。小さなプルリクエストを心がけ、定期的にmainブランチと同期することで、スムーズな開発が可能になります。

実践的なプロジェクトでブランチ戦略を適用し、チームで協力して経験を積むことで、より効率的な開発プロセスを構築できます。